ココロのオオウラ

ADHDとメンタル、障害者雇用の話

【ADHD障害者雇用】経理業務を残業縛りでこなす話

私は数年前にADHDと診断され、今はIT企業の経理担当として働いている。
障害者雇用枠で雇われたから、いくつかの合理的配慮を得ることができた。その一つが、残業の免除だ。私を担当した転職エージェントが凄腕で、内定をもらった時に人事担当と部長とで約束を取り付けたらしい。
 

残業免除=残業縛り

 

さて、私は残業免除のことをあえて「残業縛り」と呼ぶことにしている。
私は公務員出身だったから気づくのが遅れたが、働き方改革の世とはいえ、残業という行為はまだまだメジャーなのである。なぜなら、多くの場合において、残業はキャリアアップにプラスに働くからだ。とりわけ、経理分野ではそれを顕著に感じる。
 

日次作業以外を担当しづらくなる

 

これは経理特有の問題かもしれない。経理には日次業務(入出金処理とか)、月次業務(決算とか)、年次業務(申告書作成とか)など種類があるが、勤務を定時内で収めようとすると、どうしても日次業務が中心になってしまう。毎日発生するごく基本的なことだけをやらされ、時々発生するイレギュラーに関しては「こっちでやっておくよ」と言われるようになる。するとどうなるか?ただの雑務マシーンの出来上がりだ。日次業務自体がキャリアとして評価されることも少ないので、いずれ残業するにしても転職市場的に不利になる。
 

「友達紹介制度」からの脱落

 

キャリアアップするには、上司や同僚から仕事をもらう必要がある。厄介なのは、「仕事」が「信頼」で取引されているということだ。ここでいう「信頼」とは、「仲良し」という意味でもある。その分野について確かなスキルを持つが最近入社したばかりで残業ができない人と、スキルはいまひとつだが社内で顔が広く、残業がたくさんできる人だったら、上司はどちらに仕事を任せるだろうか。これは所属している会社にもよるだろうが、答えは後者であることが多いと感じる。後者に分類される人間は大抵在籍期間の長い男性社員になるため、部署の上層部はボーイズクラブみたいな雰囲気になる。ホモソーシャルそのものだ。私はこの暗黙の了解を未だに理解できなくて、働くのが結構つらい。ASD特性のせいなのかはわからないが、モチベーションがごっそり持っていかれる。
 

昇給への焦り

 

私は実家縛りのプレイヤーでもあるので、一人暮らしできる年収は必須事項だ。今後実家に戻ることは絶対にありえないし、将来何かあった時のために少しでも稼ぐ必要がある。年収を上げる一番の近道は残業だが、残業を縛るとなるとかなりの実務スキル・対人スキルと根気が必要になる。私はどちらも持ち合わせていないので、昇給への焦りにひたすら耐えることになる。上司との定期面談で温度差に気づいて、やっと我に返ることこともしばしばだ。
 

それでも定時で帰るよ

 

何だかんだデメリットは感じつつ、結局定時に帰っている。「経理に残業はつきもの」が口癖の直属の上司は不服そうだが、「実は残業できるのではないか」との疑念を1ミリも持たせないため、そそくさと帰る(実際体力がなくてできないし)。私が受けている合理的配慮はほかにもあるが、その中でも残業免除は主観が入らずわかりやすいし、ADHD特有の体調不良対策に一役買っている。カードとして持っておいて損はないと実感している。コンサータも切れちゃうしね。まあ、残業したくなったら、一般枠で転職しようかな、くらいの立ち位置で今はいるつもりだ。